「GeminiとExcelを連携させると、日々の業務がどれだけ効率的になるのだろうか」と感じていませんか。
Gemini Excel連携に関心を持つ多くの方が、Geminiでエクセルは作れる?という素朴な疑問や、具体的な使い方、そして無料でどこまで利用できるのかといった点に興味をお持ちのことでしょう。
この記事では、基本的なファイルの読み込みから、高度なデータ分析、グラフの出力、さらにはVBAマクロの自動生成や便利な関数の活用法まで、Geminiとエクセルの連携に関する情報を網羅的に解説します。
もちろん、メリットだけでなく、サポートされていないファイル形式といった注意点にも触れていきますので、失敗や後悔を避けることができます。この記事を最後まで読めば、あなたのExcel作業を革新するヒントがきっと見つかります。
- GeminiとExcelを連携させる具体的な手順
- 無料プランと有料プランでできることの違い
- データ分析やグラフ作成を自動化する方法
- マクロ生成など応用的な活用のヒント
Gemini Excelの基本機能と始め方
ここでは、GeminiとExcelを連携させる上での基本的な知識や、具体的な始め方について解説します。多くの方が抱く疑問への回答から、実際の操作手順までを順を追って見ていきましょう。
- Geminiでエクセルは作れる?という疑問
- 無料プランで利用できる機能の範囲
- Geminiの基本的な使い方と始め方
- Googleドライブ経由でのエクセル連携
- ファイルの読み込みとアップロード手順
- アップロード時にサポートされていない形式
Geminiでエクセルは作れる?という疑問

「Geminiを使って、何もない状態からExcelファイル(.xlsx)を新規作成できるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。
この問いに対する直接的な答えは、「いいえ、できません」となります。Geminiは、あくまで人間との対話を通じて情報を提供したり、既存のデータを処理したりする生成AIであり、Excelのようなアプリケーションのファイルをゼロから生成する機能は備えていないのです。
しかし、落胆する必要はありません。Geminiは、既存のExcelファイルやCSVファイルを読み込み、その内容を分析・集計・可視化することに非常に長けています。
例えば、売上データが記録されたExcelファイルをアップロードし、「商品カテゴリ別の売上合計を計算し、棒グラフで示してください」と指示するだけで、瞬時に集計表とグラフを生成してくれます。
つまり、GeminiはExcelファイルを「作る」ことはできませんが、Excelで行う作業の大部分を「代替」し、劇的に効率化することが可能です。このデータ処理能力こそが、GeminiとExcelを連携させる最大の価値と言えるでしょう。
無料プランで利用できる機能の範囲
Geminiの利用を検討する際、無料でどこまで使えるのかは非常に気になるポイントです。Googleは、無料版の「Gemini」と、より高機能な有料版「Gemini Advanced」を提供しており、それぞれで利用できる機能が異なります。
無料版のGeminiでも、日常的な質問への回答や文章作成、アイデア出しといった基本的な機能は十分に活用できます。しかし、Excel連携という観点では、いくつかの重要な制限が存在します。
最も大きな違いは、Excelファイル(.xlsx)やCSVファイルといった、データ分析に不可欠なファイルのアップロード機能です。この機能は、基本的に有料プランであるGemini Advancedのユーザー向けに提供されています。
以下の表に、無料プランと有料プランの主な違いをまとめました。
機能・項目 | 無料版 (Gemini) | 有料版 (Gemini Advanced) |
利用モデル | Gemini Pro | Gemini 1.5 Pro |
Excelファイル(.xlsx)のアップロード | × 不可 | ○ 可能 |
CSV/TSVファイルのアップロード | △ 限定的 | ○ 可能 |
Googleスプレッドシート連携 | △ 限定的 | ○ 可能 |
高度なデータ分析・可視化 | × 不可 | ○ 可能 |
月額料金 | 無料 | 2,900円 (税込) ※2025年6月時点 |
このように、本格的なデータ分析やExcel作業の効率化を目指すのであれば、Gemini Advancedへのアップグレードが前提となります。
ただし、Googleは定期的に無料トライアル期間を提供しているため、まずは使用感を試してから本格的な導入を検討することも一つの方法です。
Geminiの基本的な使い方と始め方

Geminiを使い始めるのは非常に簡単で、特別な準備はほとんど必要ありません。必要なものはGoogleアカウントだけです。
まず、Webブラウザで「gemini.google.com」にアクセスし、お持ちのGoogleアカウントでログインします。すると、画面下部にテキストボックスが表示されます。ここが「プロンプト入力欄」と呼ばれるもので、質問や指示を入力する場所になります。
基本的な使い方は、このプロンプト入力欄に、実行してほしい内容を自然な日本語で入力し、送信ボタン(紙飛行機のアイコン)をクリックするだけです。
Excel連携で重要になるファイルアップロード機能は、プロンプト入力欄の横にあるアイコンから利用します。
一般的にはクリップ(📎)やプラス(+)の形をしたアイコンで、「ファイルを追加」や「ファイルをアップロード」といったメニューが表示されます。
ここから、PCに保存されているファイルを直接指定したり、後述するGoogleドライブ上のファイルを選択したりすることが可能です。
インターフェースは非常に直感的で、初めての方でも迷うことなく操作を始められるように設計されています。
Googleドライブ経由でのエクセル連携
GeminiとExcelの連携を最もスムーズに行う方法の一つが、Googleドライブを活用することです。PCに保存されているExcelファイルを一度Googleドライブにアップロードしておくことで、Geminiから直接そのファイルを呼び出して分析できます。
この方法のメリットは、Googleのエコシステム内で作業が完結するため、データの管理がしやすい点にあります。
手順は以下の通りです。
- 分析したいExcelファイル(.xlsx)やCSVファイルを、ご自身のGoogleドライブにアップロードします。
- Geminiの画面を開き、プロンプト入力欄の横にあるファイルアップロードアイコンをクリックします。
- メニューの中から「Googleドライブ」あるいは「Googleドライブから追加」といった選択肢を選びます。
- すると、Googleドライブ内のファイル一覧が表示されるので、分析したいファイルを選択します。
これだけで、GeminiがGoogleドライブ上のファイルを認識し、分析の準備が整います。
なお、仕事用や学校用のGoogle Workspaceアカウントを利用している場合、組織の管理者がGeminiとGoogleドライブの連携を許可していないと、この機能が使えないことがあります。その場合は、組織のIT管理者に確認する必要があります。
ファイルの読み込みとアップロード手順

前述のGoogleドライブ経由の方法に加え、PC上のファイルを直接Geminiにアップロードすることももちろん可能です。手元にあるファイルをすぐに分析したい場合に便利な方法です。
PCからファイルをアップロードする手順は、以下のようになります。
- Geminiの画面で、ファイルアップロードアイコンをクリックします。
- 表示されたメニューから「アップロード」や「このデバイスからアップロード」といった選択肢を選びます。
- ファイル選択画面が開くので、分析したいExcelファイル(.xlsx)やCSVファイルなどを選択します。
アップロードが完了すると、プロンプト入力欄にファイル名が表示され、そのファイルに対する質問や分析の指示を行えるようになります。
Geminiが対応している主なファイル形式には、.xlsx(Excelブック)、.csv(カンマ区切り)、.tsv(タブ区切り)などの表形式データファイルのほか、PDFやDOCXといったドキュメントファイルも含まれます。
これにより、多様な形式の資料を読み込ませて、内容を要約させたり、特定の情報を抽出させたりすることも可能です。
アップロード時にサポートされていない形式
Geminiは多くのファイル形式に対応していますが、一部サポートされていない、あるいは正常に読み込めない可能性がある形式も存在します。これらを事前に把握しておくことで、エラーを未然に防ぐことができます。
特に注意が必要なのは、古いバージョンのExcelファイル形式である「.xls」です。これは現在の主流である「.xlsx」とは内部構造が異なるため、Geminiが正しく解析できない場合があります。
また、VBAマクロを含む「.xlsm」や「.xlsb」といったファイルも、セキュリティ上の理由から直接のアップロードや分析が制限される可能性が高いでしょう。
マクロは意図しない動作を引き起こす可能性があるため、多くのオンラインプラットフォームで扱いに注意が払われます。
もし、これらのサポートされていない形式のファイルを分析したい場合は、以下の対処法が考えられます。
- ファイル形式を変換する: Excelでファイルを開き、「名前を付けて保存」から.xlsx形式で保存し直す。
- データをCSVで書き出す: マクロなどが含まれていても、データ部分だけをCSVファイルとしてエクスポートし、そのCSVファイルをGeminiにアップロードする。
- Googleスプレッドシートに変換する: 一度Googleスプレッドシートにインポートしてから、Geminiで読み込ませる。
このように一手間加えることで、ほとんどの表データをGeminiで扱えるようになります。エラーが発生した際は、まずファイル形式を確認してみるのが解決への近道です。
Gemini Excelの応用的な活用テクニック
基本的な使い方をマスターしたら、次はより実践的なテクニックでGeminiを使いこなし、業務をさらに効率化する方法を探っていきましょう。
データ分析からマクロの自動生成まで、Geminiが持つポテンシャルを最大限に引き出すためのヒントを紹介します。
- 対話形式でのデータ分析とグラフ作成
- 分析結果をスプレッドシートに出力
- アドインで利用可能なAI関数
- VBAマクロを自動で生成させる方法
対話形式でのデータ分析とグラフ作成

Gemini Excel連携の最も強力な機能が、人間と話すような自然な対話で高度なデータ分析を実行できる点です。これまでピボットテーブルや複雑な関数を駆使しなければならなかった作業を、簡単な日本語の指示だけで完了させられます。
これを実現しているのは、Geminiがユーザーの指示を解釈し、背後でPythonというプログラミング言語のコードを自動的に生成・実行しているからです。ユーザーはその複雑なプロセスを意識することなく、結果だけを受け取ることができます。
例えば、以下のような指示が可能です。
- 「売上データから、顧客セグメントごとの平均購入額を算出して」
- 「月別の売上推移を、折れ線グラフで可視化してほしい」
- 「利益率が上位10位の製品をリストアップし、その理由を推測して」
さらに、Geminiが生成したグラフは、ただの画像ではありません。グラフ上でマウスを動かして拡大・縮小したり、タイトルや軸のラベルをその場で編集したりできるインタラクティブな機能を備えています。これにより、分析結果をより深く掘り下げたり、レポート用に体裁を整えたりする作業が格段に楽になります。
Excelの専門知識がなくても、データに基づいたインサイトを得られるこの機能は、データ分析の民主化を大きく前進させるものと言えるでしょう。
分析結果をスプレッドシートに出力
Gemini上で分析や集計を行った結果は、その場で確認するだけでなく、再利用可能なデータとして手元に残すことができます。Geminiには、生成した表データをワンクリックでGoogleスプレッドシートにエクスポートする機能が備わっています。
Geminiがデータ分析の結果としてテーブル(表)を表示すると、その下部に「Googleスプレッドシートにエクスポート」といったボタンが表示されます。このボタンをクリックするだけで、新しいスプレッドシートが自動的に作成され、分析結果が書き込まれた状態でGoogleドライブに保存されます。
この機能の利点は、AIによる高速な一次処理の結果を、人間が使い慣れた表計算ソフトでさらに詳細に加工できる点にあります。例えば、以下のような二次活用が考えられます。
- エクスポートしたデータに、Excelの機能で詳細な書式設定を適用する。
- 他のデータソースから得た情報と結合し、より複合的な分析を行う。
- 定例レポートの元データとして活用する。
ChatGPTなどの他のAIツールでは、一度CSVファイルとしてダウンロードしてからアップロードし直すといった手間がかかる場合がありますが、GeminiではGoogleエコシステム内でシームレスに連携が完結します。
この手軽さは、日々の業務で繰り返しデータを取り扱う際に大きなアドバンテージとなります。
アドインで利用可能なAI関数

Gemini自体は、Excelのシート上で直接使える「=GEMINI()」のような組み込み関数を提供しているわけではありません。しかし、Excelの「アドイン」という拡張機能を利用することで、同様の体験を実現することが可能です。
サードパーティ(外部の開発企業)から、「生成AIツール for Excel」のような、ChatGPTやGeminiといった大規模言語モデルをExcel関数として呼び出せるアドインが提供されています。
これらのアドインを導入すると、例えば以下のような独自のAI関数が使えるようになります。
=AI.ASK("A2セルの文章を要約して")
=AI.TRANSLATE(B2, "英語")
このように、特定のセルを参照してプロンプト(指示)を記述するだけで、その結果を別のセルに表示させることができます。これにより、大量のデータに対して一括でAI処理を適用する、といった使い方が可能になります。
例えば、顧客からのフィードバック一覧の横に、要約や感情分析の結果を自動で表示させるといったワークフローが構築できます。
ただし、これらのアドインは多くの場合、別途OpenAIやGoogleからAPIキー(AI機能を利用するための秘密の鍵)を取得し、設定する必要があります。また、APIの利用量に応じて別途料金が発生するのが一般的ですので、利用前には提供元のドキュメントをよく確認することが大切です。
VBAマクロを自動で生成させる方法
日々のExcel業務には、何度も繰り返す定型的な作業が存在します。こうした作業を自動化するのが「VBAマクロ」ですが、VBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語の知識が必要なため、多くの方にとってハードルが高いものでした。
Geminiは、このVBAコードの作成も自動化できます。Geminiの高度な言語理解能力とコーディング能力を活用し、やりたい作業内容を日本語で伝えるだけで、対応するVBAコードを生成してくれるのです。
指示の出し方には、主に2つの方法があります。
- テキストによる指示: 「シート1のA列にある値を、シート2のB列に転記するVBAコードを書いてください」のように、具体的な処理内容を文章で詳細に指示します。
- 動画による指示(Gemini 1.5 Pro): Geminiのマルチモーダル(動画や音声も理解できる)機能を活用し、実際にExcelを操作している様子を画面録画し、その動画をアップロードして「今見せたこの操作を自動化するマクロを作って」と指示します。
後者の方法は、複雑な操作を文章で説明する手間が省けるため、非常に画期的です。
もちろん、AIが生成したコードが常に完璧であるとは限りません。時には意図通りに動かなかったり、エラーが出たりすることもあります。そのため、生成されたコードを鵜呑みにせず、内容をある程度確認し、必要に応じて手直しするスキルも求められます。とはいえ、ゼロからコードを書くのに比べて、作業時間と学習コストを劇的に削減できることは間違いありません。
Gemini Excelで業務効率を上げるには
これまで見てきたように、GeminiとExcelの連携は、データ処理や分析、さらには作業の自動化に至るまで、幅広い可能性を秘めています。
この強力なツールを最大限に活用し、日々の業務効率を飛躍的に向上させるためには、いくつかのポイントを意識することが鍵となります。
以下に、Gemini Excel活用のための要点をまとめました。
- Excel作業の目的を明確にしてからGeminiに質問する
- 指示は曖昧にせず具体的かつ簡潔に伝える
- 定型的なレポート作成プロセスを自動化する
- 月次報告用のグラフ作成などをテンプレート化する
- 大量のデータから新たなインサイトを得るための壁打ち相手として使う
- 複雑なVBAマコード作成の初稿をGeminiに任せる
- Geminiが生成したコードや分析結果は必ずファクトチェックを行う
- 機密情報や個人情報を含むファイルは安易にアップロードしない
- 無料プランの制限を理解し必要なら有料プランを検討する
- 基本はGoogleスプレッドシートとの連携で作業効率を高める
- エラーが出た際はまずファイル形式やプロンプトを見直す
- サードパーティ製アドインの活用も選択肢に入れる
- AIの提案を鵜呑みにせず最終的な判断は自分で行う
- Googleの最新アップデート情報を定期的にチェックする
- 継続的に様々な使い方を試し自分なりの活用法を見つける