AI作曲｜MIDIで始める音楽制作入門

2025年4月8日

音楽制作の現場では、AI技術の進化によって作業の効率化と表現の幅が大きく広がっています。中でも「ai 作曲 midi」という分野は、クリエイターにとって非常に注目すべきトピックです。AIによる自動生成で音楽アイデアを瞬時に形にできるだけでなく、MIDIとして出力することで、DAWを使った自由な編集やアレンジが可能になります。

近年は「AIVA」や「Suno」など、高精度なAI作曲ツールが登場し、ジャンルや目的に応じた音楽制作がしやすくなってきました。また、オーディオ音源をMIDIに変換できる「Audio to MIDI AI」や「MP3 to MIDI AI」などの技術も進化し、既存の音源を素材として再利用する動きも活発です。

さらに、「耳コピAI」のように、音源からメロディやコード進行を抽出してMIDI化する技術も登場しており、音楽制作の新たなアプローチとして注目されています。こうしたAIツールは、直感的に使えるものが多く、初心者でも手軽に始めることができる点も魅力です。

本記事では、「ai 作曲 midi」の活用に関する基本知識から、MIDI出力やMIDI生成の流れ、変換ツールの比較、そしてそれぞれのツールの特徴や課題までを丁寧に解説します。これからAIを取り入れた音楽制作を始めたい方にとって、有益な情報をお届けします。

この記事のポイント

AI作曲ツールでMIDIを出力・編集する方法
音声データをMIDIに変換する技術と使い方
MIDIを自動生成できるプラグインやフリーツールの種類
AI作曲における著作権や再利用時の注意点

AI作曲｜MIDIを使った音楽制作入門

MIDI出力に対応した主なツール
MIDI自動生成に最適なプラグインとは
Audio to MIDI AIの仕組みと使い方
MP3 to MIDI AIで音源を再利用する方法
MIDI生成におすすめのフリーツール紹介

MIDI出力に対応した主なツール

MIDI出力が可能なAI作曲ツールは、楽曲制作の効率化に大きく貢献します。これらのツールは、AIが自動で生成した音楽データをMIDI形式で書き出せるため、DAW（Digital Audio Workstation）での編集やアレンジに活用しやすくなっています。

まず注目されているのが「AIVA」です。AIVAは、クラシックや映画音楽風の楽曲を得意とするAI作曲ツールで、無料プランでもMIDIファイルを出力することが可能です。ジャンル選択、コード進行設定、楽器パートの細かな調整などができ、完成した曲をMIDIとしてダウンロードできます。出力されたMIDIは、トラックごとに分離されているため、編集作業もスムーズです。

もう一つは「FIMMIGRM」というツールです。こちらは、事前に選んだムードやテンポ、ジャンルに基づいて楽曲を自動生成し、MIDIで書き出すことができます。生成されるメロディやコードはシンプルですが、ポップスやエレクトロニカのようなジャンルでは実用的です。MIDI出力により、制作フローにそのまま組み込める点も評価されています。

また、「Orb Producer Suite」も忘れてはなりません。これはVSTプラグインとしてDAWに組み込む形式のツールで、コードを入力すると、AIが自動でメロディやバッキング、アルペジオなどを生成してMIDIとして出力してくれます。直感的な操作で複数のバリエーションを試せるため、アイデア出しにも便利です。

一方で注意すべき点として、ツールによってはMIDI出力に制限がある場合や、有料プランにアップグレードしないと出力できないケースもあります。また、生成されたMIDIがそのまま使えるとは限らず、最終的には手動での調整が必要になることも多いです。

このように、MIDI出力が可能なAI作曲ツールは複数ありますが、制作環境や目的に合ったものを選ぶことが大切です。

MIDI自動生成に最適なプラグインとは

MIDIを自動で生成するプラグインは、アイデア不足や作業時間の短縮に悩むクリエイターにとって心強い存在です。これらのプラグインは、コードやテンポなどの基本情報をもとに、AIやアルゴリズムによってフレーズを自動生成し、即座にMIDIとして活用できるのが特徴です。

中でも代表的なのが「Orb Producer Suite」です。このプラグインは、コード進行を入力するだけで、メロディ、アルペジオ、ベースライン、バッキングなどのMIDIパターンを自動生成します。生成されたフレーズはワンクリックで再生成可能で、納得のいくものができるまで繰り返せます。また、DAWへのドラッグ＆ドロップでMIDIをそのまま反映できるため、作業効率も非常に高いです。

もう一つの例として、「Captain Plugins」シリーズが挙げられます。特に「Captain Chords」「Captain Melody」などは、作曲の基礎を補助する機能が充実しており、コード進行やメロディの提案をAIが行ってくれます。MIDI出力機能も備えており、DAWとの連携もスムーズです。

このようなプラグインは、音楽理論に詳しくない初心者にも使いやすく設計されており、作曲を始めたばかりのユーザーにもおすすめです。特に、アイデア出しの段階で活用することで、ゼロからフレーズを考える時間を大幅に削減できます。

ただし、どのツールも万能ではありません。自動生成されるMIDIはあくまで“素体”であり、機械的で単調に感じることもあります。そのため、最終的には手動での微調整やエディットが必要になる場面も多く見られます。

このように、MIDI自動生成に特化したプラグインは、作曲作業を大幅にサポートしてくれる便利なツールです。目的やジャンルに合ったものを選び、上手に取り入れることで、音楽制作の幅が大きく広がります。

Audio to MIDI AIの仕組みと使い方

Audio to MIDI AIは、音声ファイルを解析し、それに含まれる音高やリズム情報をもとにMIDIデータへと変換する技術です。特にメロディやベースラインなど、はっきりした単音のパートがある場合に有効で、作曲や編曲の補助ツールとして活用が広がっています。

このAIの仕組みは、主に機械学習モデルによって構築されています。具体的には、大量の音声とMIDIの対応データを学習したAIが、音源の中に含まれる各音のピッチやタイミングを推定し、それを数値化されたMIDIノートとして出力する流れです。ドラムやコードのような複雑な音もある程度抽出可能ですが、精度はソフトによって異なります。

使い方としては、まず変換したいオーディオファイルを対応するAIツールに読み込ませます。例えば「Ableton Live」の「Harmony to MIDI」機能や、「Melodyne」「Basic Pitch」などのソフトを使えば、音源ファイルから直接MIDI化が可能です。多くのツールでは、変換されたMIDIをピアノロールで表示し、その場で修正やアレンジもできます。

ただし、この技術には限界もあります。たとえば、音が重なり合っているポリフォニックな楽曲では、MIDIの精度が下がることがある点に注意が必要です。また、生成されたMIDIはあくまで参考素材と考え、必要に応じて編集する前提で使うのが現実的です。

このように、Audio to MIDI AIは、既存音源から新たなMIDI素材を得る手段として有効ですが、最終的な仕上がりには人の手が欠かせない場面もあります。

MP3 to MIDI AIで音源を再利用する方法

MP3 to MIDI AIは、既存の音源ファイルをMIDIデータに変換することで、素材として再活用する方法です。これにより、既存曲の一部を再編集したり、自分の制作物に活かすことが可能になります。

この変換は、音源に含まれる音の構造をAIが分析し、対応するMIDIノート情報を生成する形で進みます。例えば、メロディラインを抽出したり、コード進行のベースとなるノートを判別したりする機能を持ったAIが用いられます。実際に使用されるソフトには「Melodyne」や「Samplab」、「Ableton Live」の高機能版などがあり、これらはMP3ファイルの読み込みに対応しています。

操作の手順は比較的シンプルです。まずMP3をインポートし、分析処理を実行します。すると、ピアノロール上に音符が自動的に配置されるため、それを手動で編集したり、他のソフト音源に差し替えるといった活用が可能になります。

ここで気をつけたいのは、AIが生成したMIDIの正確性です。特にリバーブが強い音源や、多数の楽器が重なっているミックス済みの楽曲では、誤認識が起こりやすくなります。また、変換できたとしても、リズムのずれやノートの不自然な配置が見られることも珍しくありません。

再利用する場面としては、オリジナルの楽曲アレンジ、参考メロディの抽出、または既存曲のコード進行を元にした新規楽曲の作成などが考えられます。注意点としては、著作権のある音源を素材として使う際は、個人利用にとどめるか、ライセンスに従う必要があります。

このように、MP3 to MIDI AIは柔軟な音楽制作をサポートしてくれる技術ですが、実用面では調整や補完が前提となることを理解した上で活用することが重要です。

MIDI生成におすすめのフリーツール紹介

MIDIファイルを生成する際、無料で利用できる便利なツールがいくつか存在します。以下に主要なものを紹介します。

1. MIDIGEN

MIDIGENは、AIを活用してロイヤリティフリーのMIDIコードやメロディーを生成できるツールです。ユーザー登録やクレジットの制限がなく、直感的なインターフェースで簡単に高品質なMIDIファイルを作成できます。

2. dopeloop.aiのメロディージェネレーター

このアプリは、無料でランダムなMIDIメロディーを生成することができます。生成されたメロディーはプロシージャルに作成され、ロイヤリティフリーで使用可能です。

3. StaccatoのAI MIDIメーカー

StaccatoのMIDIエディターは完全無料で、MIDIトラックの作成が可能です。MIDIコントローラーを接続するか、エディター内で直接ノートを入力して作曲できます。

4. Magenta Studio

Googleが提供するMagenta Studioは、AIを活用した音楽生成ツールのスイートです。5つのアプリケーションが含まれており、MIDIファイルの生成や編集が可能です。

5. MuseNet

OpenAIのMuseNetは、MIDIファイルを入力として受け取り、新しいMIDIファイルを生成することができます。ジャンルやアーティストなどのパラメータを設定して、カスタマイズされた音楽生成が可能です。

これらのツールを活用することで、コストをかけずに高品質なMIDIファイルを作成することが可能です。各ツールの特徴を理解し、目的に合わせて最適なものを選択してください。

AI作曲｜MIDIで広がる制作の可能性

Suno MIDI変換の現状と課題
AIVAで作る高品質なMIDI楽曲
AI MIDI変換ツールの精度と比較
耳コピAI MIDIで再現性はどこまで可能か
MIDIの活用における注意点
MIDI自動生成と手動編集の違いとは
AI作曲と著作権の基本的な考え方

Suno MIDI変換の現状と課題

Sunoは、AIを活用した音楽生成ツールとして注目を集めていますが、MIDI変換に関してはいくつかの現状と課題が存在します。

現状

Sunoは、ユーザーのテキスト入力に基づいて音楽を生成するAIツールです。生成された音楽は高品質で、多様なジャンルに対応しています。

課題

MIDIデータの提供不足: 現在、Sunoは主にオーディオファイルとして音楽を出力しており、MIDIデータの提供が限定的です。これにより、ユーザーが生成された音楽を編集・再利用する際の柔軟性が制限されています。
著作権とトレーニングデータの問題: Sunoが使用するトレーニングデータの出所や著作権に関する透明性が不足しており、法的な課題が指摘されています。
音楽業界への影響: AIによる音楽生成が普及することで、従来の音楽制作や著作権管理に影響を及ぼす可能性があり、業界全体での議論が必要とされています。

これらの課題を解決するためには、SunoがMIDIデータの提供を強化し、トレーニングデータの透明性を高めることが求められます。また、ユーザーや音楽業界全体での適切な利用方法やルール作りが重要となります。

AIVAで作る高品質なMIDI楽曲

AIVA（Artificial Intelligence Virtual Artist）は、映画音楽やクラシック風の楽曲制作を得意とするAI作曲ツールです。このツールを使えば、ジャンルと構成を選ぶだけで、MIDI形式の高品質な楽曲を生成することができます。

AIVAの魅力は、スタイルやコード進行を細かく設定できる点にあります。曲のジャンルは250種類以上あり、それぞれの雰囲気に合ったコード進行やパートが自動で割り当てられます。たとえば「Epic Orchestra」を選ぶと、ストリングス中心のダイナミックな楽曲がMIDI形式で出力され、DAWへの取り込みやパート別の編集がしやすくなります。

また、MIDI出力に対応しており、Orchestrated MIDIとReduced MIDIの2種類をダウンロード可能です。Orchestrated MIDIでは、バイオリン、チェロ、ホルンなどが個別のトラックに分けられており、より自由度の高いアレンジが可能になります。特に音のレイヤーやボリュームオートメーションの情報が含まれている点は、他の作曲AIにはあまり見られない特徴です。

一方で、完全にAI任せにすると音楽的な意図が伝わりづらい場合があります。パートごとの「Edit notes」機能を活用し、意図に合わないフレーズは修正する必要があります。とはいえ、作曲の基礎を持っていない人でも、AIVAを使えばある程度完成度の高いMIDIデータが短時間で得られます。

このように、AIVAは映画風・ドラマティックな音楽を中心に、高精度なMIDI出力を求める人にとって非常に有用なツールです。作曲の効率化だけでなく、プロジェクトに深みを加える素材としても活用できます。

AI MIDI変換ツールの精度と比較

AIによるMIDI変換ツールは数多く存在し、それぞれに精度や用途に違いがあります。どのツールを選ぶかは、変換元の音源の種類や目的に応じて考える必要があります。

まず、単音（モノフォニック）の音源を変換したい場合は、比較的どのツールでも高い精度が期待できます。例えば「Melodyne」は音の高さを細かく認識し、微細なピッチの揺れもMIDIノートとして抽出してくれます。また、Ableton Liveの「Harmony to MIDI」機能は、コードの構造をある程度認識して変換してくれるため、ピアノトラックなどに向いています。

一方で、複数の音が重なったポリフォニックな音源の変換には、精度の差が顕著に表れます。Sunoのように生成されたボーカル付き音源を変換したい場合、無料で使える「Basic Pitch」は便利ですが、倍音を誤認識することもあり、エディット作業は必須になります。精度を重視するなら、有料版の「Melodyne Studio」や「Samplab」の方が安定しています。

また、ツールによってはドラム音の変換に弱いことがあります。これはAIがキックとスネアなどのタイミングを正しく認識できないことがあるためです。そのため、ドラムのMIDI変換を行う場合は、専用に設計されたツールや、人力での修正を視野に入れることが推奨されます。

どのツールも万能ではないため、変換後に自分の耳で確認し、不要なノートを削除したりタイミングを調整したりといった工程が欠かせません。こうした手間はありますが、音源をMIDI化することで音色の変更や構成の変更が容易になるため、作曲やリミックスの自由度は大きく広がります。

それぞれのツールの得意分野を理解したうえで選択することが、AI MIDI変換を効果的に活用するポイントです。

耳コピAI MIDIで再現性はどこまで可能か

耳コピAIを使って音源からMIDIを抽出する技術は進化を続けていますが、完全な再現にはまだ限界があります。特に複数の楽器が同時に鳴っている場合、個々の音を正確に分離して認識するのは難易度が高くなります。

単音メロディーの抽出においては、現時点でも比較的高い精度が得られます。例えば、ギターやボーカルのような明確な主旋律を持つパートであれば、多くのAIツールは音の高さやタイミングをほぼ正確にMIDI化できます。しかし、和音や複雑なアルペジオを含む場合、変換されたMIDIは一部の音が欠けていたり、余計な音が混ざることもあります。

これを補うためには、AIツールを過信せず、人間の耳で再確認しながら編集を加える工程が必要です。また、曲のジャンルによっても再現精度は変わります。EDMやクラシックのように音がはっきり分かれているジャンルでは比較的高い再現性を持ちますが、ロックやジャズなどノイズや倍音が多いジャンルでは誤変換が起きやすくなります。

再現性を高めたい場合、MIDI化する前にオーディオをSTEM分離（パートごとの音声に分解）するのも効果的です。近年はUVR（Ultimate Vocal Remover）やSpleeterなどの分離ツールと組み合わせて使うことで、精度が向上します。

完全な耳コピをAIの力だけで実現するのはまだ難しいものの、補助ツールとして活用すれば作業時間の短縮やアイデア出しに大きく貢献してくれます。

MIDIの活用における注意点

MIDIは非常に柔軟で便利なフォーマットですが、扱い方によっては意図しない結果を招くこともあるため注意が必要です。特にAI生成や自動変換されたMIDIデータを使う場合は、そのまま使用せず一度内容を確認することが重要です。

まず、MIDIは音の高さや長さ、ベロシティ（音の強さ）などの情報を数値で管理しており、演奏ニュアンスは反映されにくいという性質があります。そのため、MIDIを再生する音源やソフトシンセによって、同じデータでも印象が大きく異なる場合があります。

また、コード進行やテンポ、拍子などの音楽的な文脈がMIDIファイルには直接含まれていないことも多く、自分の楽曲のスケールや構成と合っていないMIDIを適用すると、違和感のある仕上がりになることも少なくありません。

もう一つの注意点は、MIDIデータの著作権です。無料で配布されているMIDI素材であっても、使用条件やライセンスに制限がある場合があります。AIによって生成されたものであっても、元データの扱いによっては法的な問題が発生する可能性もあるため、利用前に必ず確認しましょう。

さらに、MIDIを用いたアレンジ作業では「思考停止」に陥らないことも大切です。便利だからといって全てを自動化してしまうと、楽曲に独自性が失われることもあります。生成されたMIDIを土台として、自分なりの工夫を加えていくことが、音楽制作における本来の楽しさにもつながります。

このように、MIDIは非常にパワフルなツールですが、扱う際には音楽的・技術的な側面を踏まえて使いこなすことが求められます。

MIDI自動生成と手動編集の違いとは

MIDIデータの作成には、自動生成と手動編集という2つの方法があります。どちらにもメリットとデメリットがあり、使い分けることでよりスムーズな制作が可能になります。

自動生成では、AIや専用ソフトがコード進行やスケールに基づいて瞬時にMIDIデータを作成してくれます。特にOrb Producer SuiteやAIVAなどのツールを使えば、コード入力だけでアルペジオやバッキング、ベースなど複数パートを同時に生成することも可能です。この方法は、短時間で素材を揃えたいときや、作曲のアイデアが出てこない場面で非常に有効です。

一方で、こうした自動生成されたMIDIは「機械的な響き」になりがちです。リズムや強弱が均一で、音楽に必要な人間らしいゆらぎや抑揚が感じられないこともあります。ここで手動編集の出番です。自分でノートの位置を微調整したり、ベロシティ（音の強さ）を調整することで、より自然な演奏感を演出できます。

また、自動生成はある程度のルールに基づいて作られるため、ジャンルの枠を超えるような自由な表現は苦手です。オリジナリティを重視するなら、自動生成のデータをベースに、手動で編集を重ねていくのが効果的です。

このように、自動生成と手動編集は対立するものではなく、補完関係にあります。どちらか一方に偏るのではなく、状況や目的に応じて使い分けることで、よりクオリティの高い音楽制作が可能になります。